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医療機関等で処方される薬には「先発医薬品(新薬)」と「ジェネリック医薬品」があります。
先発医薬品は新しく開発された成分で作られたお薬です。新しい薬の成分の開発には長期にわたる研究開発が必要で研究費用が高額となるため、その費用を反映して薬の価格が高くなっています。新しく開発した薬の有効成分の権利は特許により守られているため、開発した製薬会社だけが先発医薬品を独占的に製造・販売することができます。
これに対して、ジェネリック医薬品は新薬の特許期間が切れた後に作られる薬です。特許が切れているため、開発した製薬会社以外の製薬会社も同じ有効成分を使って薬を作ることができます。すでに開発された薬の有効成分を使用することができるため、開発期間も短く費用も安価に製造することができ、効果や安全性については新薬と同等であることを国が厳しく審査しています。
新薬とジェネリック医薬品の比較
ジェネリック医薬品 | 先発医薬品(新薬) | |
特許 |
特許期間切れ 先発医薬品の開発から20~25年たち、特許期間が切れている薬の成分が使われています。 |
特許期間中 新しく研究開発された薬の成分で、特許によって権利が保護されています。 |
効果・安全性 |
新薬と同等 先発医薬品と同じ有効成分が同じ量含まれており、同等の効果があります。安全性についても国の厳しい検査で確かめられています。 |
臨床試験で確認済み 新しく開発された有効成分であることから、臨床試験により効果・安全性が確かめられたものが新薬として承認されます。 |
価格 |
安い 研究開発費用が先発医薬品に比べて抑えることができるため、薬価は新薬の5割以下と大幅に安価になっています。 |
高い 長期にわたる開発が必要で研究開発費用が高額であることから、その開発費用が価格に反映されており、薬価が高額です。 |
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同等の効果があるにもかかわらず、薬の価格は半額以下になります。このため、ジェネリック医薬品を使用することで医療の質を落とさずに医療費を減らすことができます。特に花粉症や生活習慣病などの慢性の病気で、長期にわたり薬を服用する必要がある場合には、ジェネリック医薬品に切り替えることで医療費の負担を大きく軽減できます。
処方箋には、治療上の必要性からジェネリック医薬品に変更してはいけない場合のみ医師が該当箇所に署名(または記名・押印)をすることになっています。ジェネリック医薬品に関する医師の指示がなければ、原則として調剤薬局で薬剤師と相談して変更できます。
ジェネリック医薬品は有効成分、用法・用量、効能・効果は先発医薬品と同等であることが求められます。一方でそれ以外の部分は先発医薬品より後から販売される分、最新の技術で改良されている場合もあります。例えば水なしでも飲めるようにしたり、飲み間違いを防ぐためにパッケージを改良したり、飲みやすくするために薬の大きさを小さくしたりするなど、さまざまな工夫を行ったジェネリック医薬品が使われています。
ジェネリック医薬品は多くの場合、先発医薬品を開発した製薬会社以外の製薬会社で製造されているため、同等の効果・安全性であることが確かめられているものの、製造方法や添加物などは異なる場合があります。
一方、オーソライズド・ジェネリックは、先発医薬品を開発した製薬会社の許諾を受け、製造方法や添加物、原料などを新薬と全く同じにしたジェネリック医薬品です。中には先発医薬品と同じ工場の生産ラインで製造されている場合もあり、いわば先発医薬品と全く同じものがジェネリック医薬品として販売されているといえます。
「ジェネリック医薬品だと効果や安全性が心配…」という場合は、オーソライズド・ジェネリックを選択してみてはいかがでしょうか。
ジェネリック医薬品を使用したい場合には、調剤薬局で処方箋を渡す際に「ジェネリックでお願いします」と伝えましょう。医師が「ジェネリック医薬品への変更不可」という指示をしている場合を除き、ジェネリック医薬品への変更が可能です。
もし、処方箋で医師が「変更不可」の指示をしていた場合には、医師に相談してみましょう。
日本ジェネリック医薬品学会が運営する「かんじゃさんの薬箱」というWEBサイトでは、薬の名前から対応するジェネリック医薬品を検索することができます。薬の価格である薬価も確認することができるため、先発医薬品とジェネリック医薬品でどのくらい価格に違いがあるかについても調べることができます。
ご自身が処方されている薬を検索してみてはいかがでしょうか。
国内の医療費は年々増加が続いており、年間で45兆円以上の医療費がかかっています。医療技術の進歩や高齢化などの影響で医療費の増加は今後も続く見込みで、医療費の多くを負担する健康保険の財政は非常に厳しい状態です。
薬剤費は医療費全体の2割以上を占めており、大きな割合となっています。ジェネリック医薬品は新薬の5割以下の薬価であることから、ジェネリック医薬品を使用することで医療の質を落とさずに医療費を節約することができます。
高齢化により健康保険を支える現役世代が減少する中で医療費の増大が続けば、ますます健康保険料の負担増につながり、やがては医療を支えきれなくなってしまうかもしれません。大切な健康保険の制度を守るためにも、ジェネリック医薬品の使用を通じて医療費の節約にご協力ください。
令和6年10月1日より、ジェネリック医薬品があるにもかかわらず、薬の有効性とは関係のない理由であえて先発医薬品を希望する場合には、医療費の自己負担(1割~3割)にプラスして特別料金がかかる仕組みになっています。
この機会にジェネリック医薬品の積極的な利用をお願いします。
対象となるのは、以下のような同じ成分の後発医薬品がある長期収載品と呼ばれる先発医薬品です。薬の有効性とは関係のない理由で該当する先発医薬品の使用を希望する場合に、特別料金がかかります。
具体的な薬については厚生労働省のサイトで確認できます。
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について(厚生労働省)
先発医薬品とジェネリック医薬品(最も高額のもの)の価格差の4分の1の額が医療費の自己負担とは別にかかります。特別料金は、調剤薬局で薬を受け取る際に医療費の自己負担と一緒に支払います。
例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、ジェネリック医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1となる10円が特別料金として自己負担とは別に請求されます。なお、特別料金には別途消費税がかかります。
処方箋に「患者希望」欄があり、ジェネリック医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の処方を希望した場合はチェックがあります。
医師の判断で医療上の必要性から先発医薬品の処方を受けた場合には、「変更不可(医療上必要)」欄にチェックがあるため、先発医薬品の調剤を受けた場合でも特別料金はかかりません。
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